エコ基地、軍事施設に隣接する環境保護区
内地あたりではいまだに「抑止力」幻想が根強いらしいが、「抑止」は「ユクシ」だというシャレ(ユクシ=嘘)のほうが、こちらでは定石の理解となりつつあるこのところの沖縄ですが、「エコ基地」とかいう、あらたなユクシにも警戒警報を。
「北部に国立公園など/辺野古移設で環境3策」『東京新聞』2010年5月26日。
辺野古の基地用地を除外して「ジュゴン保護海域」だの、オスプレイ配備を前提に新設するヘリパッド建設で森を切り開きながら「やんばる国立公園」だの、ユクシが天こ盛り。このお手盛り記事、「国立公園となるやんばる地区は、国頭村(くにがみそん)など面積約三万ヘクタール。米軍の演習場があり、ほとんどが未開発になっている」と、おそらく政府筋の発言をそのまま鵜呑みにしたのだろうが、枯れ葉剤が使用されたり、ペイント弾やサイレント弾が捨てられたりする訓練場は、「未開発」なのではなく、使用状況が全く確認出来ないうえに日本政府の隠蔽体質も手伝って、未管理の状態なのだ。
それだけではない。以前にも紹介した記事を思い出して欲しい。米軍は、クリーンつか、グリーンなイメージを偽装するためだけではなく、軍事活動を市民の視線から遠ざけるバッファーゾーンとしての環境保護区の確保に積極的だという事情を、北部訓練場にもかさねて想像してみる必要がある。
さらに末尾にはご丁寧に「一方、国立公園区域にある演習場のうち約四千ヘクタールの返還が日米間で合意されているが、それに伴うヘリ離着陸基地の移設工事に住民が反対。このため、同返還区域の国立公園指定が難航する恐れもある」とある。知ってか知らずにか、マスコミが政府の広報宣伝屋として利用されてしまう典型的なパターンを踏襲してくれている。「反対派が邪魔するせいで環境保護が進まない」というユクシにも、充分に警戒しましょう。
高江のヘリパッドいらない住民の会の政府要請文から、以下に引用しておく。
「北部訓練場の面積がたとえ半分になったとしても、現在でも激しい訓練がさらに集中的に高江周辺で行われるならば、それを「負担軽減」とは言わないでしょう。沖縄本島の重要な水源地であり、生物多様性の宝庫として国際自然保護連合(IUCN)やWWFが保護を呼びかけているやんばるの森は、半分面積だけが返還されても、すぐその隣で、抑制できない激しい軍事訓練が集約的に行われるならば、それを自然保護と呼ぶことは出来ないでしょう。返還条件として決まったことだからと言われても、飛来する機種や飛行ルート、演習形態など必要な説明のないものを、ましてやオスプレイの配備が公然と言われているなか、黙って受け容れることは出来ません。現在でも昼夜を問わない軍事演習に使われており、返還後も15カ所も残る現状のヘリパッド以上に整備された新しいヘリパッドを、手つかずの森をわざわざ切り刻んで建設することを、「移設」と言われても納得する人はいないでしょう。」